共同担保とは?不動産投資の基礎知識
共同担保(きょうどうたんぽ)とは、1つのローンに対して複数の不動産を担保として設定することです。通常、不動産ローンは購入する物件だけを担保にしますが、それに加えてすでに所有している別の物件も担保に加えるのが共同担保です。
たとえば、1棟目に戸建を購入済みの場合、2棟目の物件を購入する際に「1棟目の戸建+2棟目の新規物件」の2つを合わせて担保に入れる形です。これにより銀行から見た担保価値が増し、融資が通りやすくなるというメリットがあります。
通常担保と共同担保の違い
| 項目 | 通常担保 | 共同担保 |
|---|---|---|
| 担保物件数 | 購入物件のみ(1件) | 購入物件+既存物件(2件以上) |
| 担保評価額 | 購入物件の評価額のみ | 複数物件の評価額の合計 |
| 銀行の安心感 | 低め(担保不足になりやすい) | 高め(担保余力が生まれる) |
| 融資審査の通過率 | 標準的 | 向上しやすい |
| リスク | 購入物件のみ | 既存物件も差し押さえ対象 |
なぜ共同担保で融資が通りやすくなるのか
銀行が不動産融資を審査する際、「返済できなくなったとき、担保物件を売却すれば回収できるか」という視点で担保評価を行います。この担保評価額がローン残高を上回っていれば、銀行にとってリスクが低くなります。
担保余力(担保価値-ローン残高)が鍵
1棟目の戸建を購入して数年が経過すると、ローン残高が減り、かつ物件の担保評価額(特に土地)が維持されているケースが多くなります。この差額が「担保余力」です。
例として計算してみましょう。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 1棟目の積算評価額(土地+建物) | 1,500万円 |
| 1棟目のローン残高 | 800万円 |
| 担保余力(差額) | 700万円 |
| 2棟目の購入価格 | 500万円 |
| 2棟目の積算評価額 | 400万円 |
| 2棟目単体の担保不足額 | △100万円 |
| 共同担保後の担保超過額 | +600万円(余力あり) |
このように、1棟目の担保余力700万円を共同担保として加えることで、2棟目単体では100万円不足していた担保が、合計では600万円の超過となります。銀行はこの状態なら安心して融資できます。
LTV(Loan to Value=融資比率)の改善効果
LTVとは「物件評価額に対するローン残高の割合」のことです。銀行は一般にLTV70〜80%以内を目安にします。共同担保を入れることで分母(担保評価額)が増えるため、LTVが下がり融資審査上の安全圏に入りやすくなります。
1棟目戸建を共同担保にした2棟目購入の全手順
STEP1:1棟目の担保評価を把握する
まず、1棟目の物件がいくらで評価されるかを把握することが出発点です。銀行が行う担保評価には主に2種類あります。
- 積算評価:土地の相続税路線価×面積+建物の再建築費用×残存年数。築古戸建では建物評価がゼロになることも多く、土地評価がメインになります
- 収益評価:年間家賃収入÷還元利回りで算出。地銀・信金は積算評価を重視することが多いです
相続税路線価は国税庁のウェブサイトで無料確認できます。おおよその積算評価は「土地面積×路線価×0.8(掛け目)」で概算できます。
STEP2:共同担保に対応している金融機関を探す
共同担保に対応している金融機関を選ぶことが重要です。主な候補は以下の通りです。
- 地方銀行:物件エリアの地銀は積算評価重視で共同担保を受け入れやすい。担当者との関係構築が鍵
- 信用金庫・信用組合:地域密着型で柔軟な対応が期待できる。1棟目の実績(入居率・返済実績)を示すと有利
- 日本政策金融公庫:女性・シニア向けの優遇制度あり。共同担保設定も可能な場合がある
- ノンバンク(オリックス銀行等):審査が柔軟だが金利は高め。銀行融資の補完として活用
重要なのは「1棟目の物件所在地と同じエリアの金融機関」にアプローチすることです。共同担保物件を管轄する金融機関でないと、担保設定の手続きが複雑になります。
STEP3:金融機関への事前相談と資料準備
事前相談では以下の資料を持参すると話がスムーズに進みます。
- 1棟目物件の登記簿謄本・固定資産税評価証明書
- 1棟目のローン残高証明書
- 1棟目の賃貸契約書・入金履歴(返済実績の証明)
- 2棟目候補物件の資料(物件概要書・レントロール)
- 法人の決算書(2〜3期分)または個人の確定申告書
- 資産・負債一覧表(借入一覧)
STEP4:共同担保の設定と決済
融資が承認されたら、決済時に1棟目物件に追加の抵当権(共同担保)が設定されます。司法書士が手続きを行うため、追加の登録免許税と司法書士報酬が発生します(目安:数万円〜10万円程度)。
共同担保設定のコストを事前に見積もっておきましょう。
戸建 vs アパート:共同担保でどちらを買うべきか
2棟目として「中古戸建」と「一棟アパート」のどちらを狙うかによって、戦略が変わります。
2棟目に中古戸建を選ぶ場合
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 購入価格が低い(300〜800万円台も) | 空室時の収入ゼロリスク(1戸のみ) |
| 共同担保の担保差額でカバーしやすい | 築古の場合リフォーム費用が発生 |
| 管理が比較的シンプル | 流動性がやや低い(売却に時間がかかることも) |
| 実績を積みやすい(銀行との関係構築) | 土地評価が低いエリアでは担保評価が出にくい |
1棟目で中古戸建オーナーチェンジを経験済みの場合、2棟目も同じ戸建で実績を積み、3棟目以降でアパートに移行するという段階的戦略が有効です。
オーナーチェンジ物件のメリット・デメリットについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
2棟目に一棟アパートを選ぶ場合
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 複数戸数で収入が安定(空室リスク分散) | 購入価格が高い(数千万円〜) |
| 融資額が大きく資産形成スピードが速い | 共同担保の担保余力が十分必要 |
| 収益性が高いケースが多い | 管理の手間・コストが増える |
| 銀行評価が上がりやすい(収益性重視) | 修繕積立・大規模修繕リスクあり |
アパートは「共同担保+収益評価」の組み合わせで融資を引き出すケースが多く、1棟目戸建の担保余力が大きいほど有利です。ただし購入価格が高い分、1棟目の担保余力だけでは不足し、自己資金の追加が必要になることもあります。
共同担保融資を受けるための5つの条件
- 1棟目に担保余力があること(ローン残高<担保評価額):余力が大きいほど有利。目安は担保余力300万円以上
- 1棟目の返済実績があること:6ヶ月〜1年以上の滞りない返済実績は銀行への信頼材料になります
- 1棟目が満室(または高稼働)であること:空室物件を共同担保にしても銀行の評価は上がりにくいです
- 収入・信用情報に問題がないこと:法人の場合は決算書、個人の場合は確定申告書で収入を証明します。信用情報(クレジットカードの延滞等)も審査対象
- 2棟目物件の収益性が一定基準を満たすこと:表面利回り10%以上が目安(特に築古戸建・地方物件)
共同担保の3つのリスクと対策
リスク①:両物件が差し押さえ・競売の対象になる
共同担保の最大のリスクは、返済が滞った場合に1棟目・2棟目の両方が担保実行の対象になることです。通常担保であれば購入物件のみですが、共同担保では既存物件も失うリスクがあります。
対策:2棟分の合計返済額に対して、収入が1.2倍以上の余裕がある状態を維持すること。空室が続いても6ヶ月以上返済できる現金を手元に確保しておくことが重要です。
リスク②:共同担保物件を簡単に売却できなくなる
1棟目を共同担保に入れると、2棟目のローンが完済されるまで1棟目を自由に売却できません。銀行の承認なく売却することは抵当権の関係上できないからです。
対策:長期保有を前提とした物件選びをすること。また、共同担保解除条件(例:元本の一定割合を繰り上げ返済した場合など)を事前に銀行と交渉しておくことも有効です。
リスク③:金利上昇・家賃下落のダブルパンチ
変動金利でローンを組んでいる場合、金利上昇と同時に家賃が下落すると返済比率が一気に悪化します。2棟分のローンを抱えているため影響が大きくなります。
対策:2棟目ローンは固定金利または固定期間選択型を検討する。また、家賃設定を相場より若干低めにして常時満室を維持する戦略が有効です。
共同担保を活用した買い進め戦略(実践編)
不動産投資で資産を増やしていく「買い進め戦略」の基本サイクルは以下の通りです。
①購入 → ②賃貸経営(実績作り) → ③担保余力の積み上げ → ④共同担保設定 → ⑤次物件購入
法人名義で組む場合の考え方
株式会社などの法人名義で不動産を取得している場合、法人の決算書が共同担保融資の審査書類の中心になります。個人大家と異なり、経費計上の幅が広いため「帳簿上の利益が少ない=審査に不利」にならないよう注意が必要です。
金融機関によっては「税引前利益+減価償却費」でキャッシュフローを判断するところもあります。顧問税理士と連携しながら、融資審査を意識した決算書の見せ方を検討しましょう。
当ブログの場合:1棟目中古戸建を共同担保に使う実例
当ブログの運営者(専業主婦大家)は、オーナーチェンジ物件の中古戸建を1棟目として取得しました。この物件の詳細はこちらの記事(中古戸建オーナーチェンジ500万円購入記録)をご覧ください。
今後はこの1棟目の担保余力を活かして2棟目の取得に向けた金融機関へのアプローチを進める予定です。実際の相談結果や審査の状況については、随時ブログでご報告します。
よくある質問(FAQ)
Q. 共同担保を設定すると登記費用はいくらかかりますか?
A. 追加の抵当権設定登記が必要になります。登録免許税は「債権額×0.4%」、司法書士報酬は3〜8万円程度が目安です。1,000万円の融資であれば合計5〜10万円前後を見込んでおきましょう。
Q. 1棟目のローンがまだ残っていても共同担保に使えますか?
A. 使えます。ローン残高があっても「担保評価額-ローン残高」のプラス分(担保余力)があれば共同担保として機能します。完済している必要はありません。むしろ残高が減るほど担保余力が増します。
Q. 共同担保は何棟目まで続けられますか?
A. 理論上は担保余力が積み上がれば何棟でも続けられます。ただし金融機関ごとに「1法人(個人)への融資上限額」を設けているケースがあるため、複数の金融機関を使い分ける戦略が必要になってきます。一般的には3〜5棟を超えたあたりから融資の難易度が上がります。
Q. 専業主婦でも共同担保融資を受けられますか?
A. 法人名義で不動産を所有・運営していれば、法人の収益・資産状況が審査対象になります。当ブログの運営者のように株式会社を設立して法人として融資を受けるルートが現実的です。法人化の経緯についてはこちらの記事(不動産賃貸業を法人化した理由)で詳しく解説しています。

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